[発電所]「外部雷対策はやり尽くしたと考えていたが、PDCEという斬新な策を講じることができた」-神岡鉱業株式会社 電力部 様

「外部雷対策はやり尽くしたと考えていたが、
PDCEという斬新な策を講じることができた」

神岡鉱業株式会社 電力部 様

【導入製品:PDCE-junior(25基)】

 岐阜県北部から富山県を経て日本海に注ぎ込む神通川流域には、北アルプスからの豊富な水資源を生かした水力発電所が数多くある。明治時代に電燈用として水力発電所を開設した神岡鉱業(株)は、現在11カ所の水力発電所を運営している。
 2015年より、再生可能エネルギーのさらなる開発と拡充に向け、主要5カ所の発電所を更新。運用開始直後の2019年夏、そして2023年冬に落雷が送電線を直撃した。
 「できる対策は積極的に取り入れる」との方針で、一気にPDCE 25基を送電鉄塔に設置された、電力事業部の皆さまにお話を伺いました。

水力発電所は、半径20㎞圏内に計11カ所点在。主に高原川水系の支流から取水している。
2025年現在の総定格発電能力は約40,000kW、年間発電量は約230GWh

[神岡鉱業株式会社(三井金属グループ)]

岐阜県北部を拠点とする神岡鉱業の創業は明治7年(1874年)、三井組が神岡鉱山蛇腹平坑を取得し、近代的な鉱山経営を開始したことに遡る。かつて東洋一の規模を誇った亜鉛の鉱山を眼前に、以来150年に渡って亜鉛・鉛地金を製造している。2001年に大規模な鉱石の採掘を中止して以降も、「環境安全最優先」を全社方針とし、廃バッテリーなどを粉砕して鉛を取り出すリサイクル事業のほか、金属粉・触媒・化成品製造、水力発電、スーパーカミオカンデ等の地下利用といった事業を多角的に展開している。
大手非鉄金属メーカーである三井金属鉱業株式会社の中核事業会社 (資本100%)。

公式ホームページ https://www.mitsui-kinzoku.co.jp/group/kms/

送電鉄塔105基中、25基が標高1,100m級の山中に

総定格発電能力 約40,000kWの水力発電施設

弊社では11カ所の水力発電所を稼働させており、発電能力は約40,000kW、年間約230GWhを発電しています。これは2022年時点の石炭火力発電所のCO2排出量に換算すると、年間約215千tに相当し、CO2排出量の削減に大きく貢献しております。

金木戸発電所の取水口。 豊かな自然環境の中、地形を利用したクリーンエネルギーを生み出している

水車発電機

変電設備

水圧鉄管

送電鉄塔105基、送電線の総延長は20km

 水力発電は、皆さんご存じの通り、水を落下させたエネルギーで水車を回し、発電機で発電させるものです。高い山に囲まれた地形と豊富な水量が必要で、送電線は山中を渡ることになります。弊社の送電線は総延長約20km、105基の送電鉄塔のうち25基は、鉄塔高が40~50mと高く、いずれも山中にあります。

2019年夏、送電線に直撃雷

運転再開に3週間を要して

 2019年8月、その山中にある送電線を雷が直撃しました。雷サージが変電所に流れ込み、設備の一部が焼損。跡津発電所、土第一発電所、土第二発電所の3カ所全ての水力発電所で復旧工事と点検作業をし、運転を再開できたのは27日のことでした。

再び雷電流に襲われた2023年冬

想定をはるかに凌ぐ大電流

 2023年冬には、またしても標高の高い山中の送電線に落雷しました。 復旧のための人員確保や代替手段の手配など、落雷被害がもたらした業務は相当な量です。

「できる対策は積極的にやろう!」

斬新な対策に驚き

 変電所にできる落雷対策は、接地の取り方を工夫する、避雷器を付けるくらいしかないと思っていました。情報収集を続けたところ、某協会が持っている資料の中に、PDCEのパンフレットがありました。
 「こんな斬新な対策があるとは!」と驚きました。さっそく落雷抑制システムズにコンタクトを取りました。2024年早春のことです。

理にかなった仕組みに、社内で反対なし

 PDCEの仕組みは理にかなったもので、10年以上前に送電鉄塔に導入された事業者様を始めとする実績をお聞きし、弊社でも一刻も早く取り入れようということになりました。
 落雷抑制の松本さんからは、落雷の多い地区の約1.2km区間にPDCE 5基を設置し、1年掛けて効果を検証する提案をいただきましたが、弊社の落雷対策に待ったなし。2024年8月までに、特に落雷リスクの高い鉄塔高40~50mの送電鉄塔25基すべてに、PDCEを一気に設置しました。

送電鉄塔上部のPDCE-junior。雷サージカウンターと閃絡表示機©も設置

落雷から守りたい場所に、今後も追加投入

2024年冬を無事故で乗り切る

 PDCEを導入して初めての冬を心配して過ごしましたが、落雷被害に遭うことなく、かれこれ1年が経過します。今後も弊社設備への順次導入を検討しております。

PDCEの今後に期待

 弊社の鉄塔に導入したPDCE-juniorより強力な落雷に対抗できるPDCE-Magnumは重量が10㎏近くもあるため、送電鉄塔の頂上に設置作業するにはかなりの負担です。Juniorの5㎏程度で精度の高い製品が登場することを願っています。

神岡鉱業 電力部の皆さま

(取材日:2025.05.09)