落雷抑制の原理

落雷とは?
落雷とは、「落ちる」雷で、上空から地面への放電現象を見る限り上から下への一方通行の様に見えますが、実は人間には見えない速度で、地面から上空に向かう放電(お迎え放電)があり、上から落ちてく放電(先行放電)と空中で結びつく事で放電路が形成され、そこに大きな電流が流れるのが落雷です。空中での放電は、雲の中や、雲同士などの空中での放電が8割、地面に向かう放電【落雷】が2割と言われています。

避雷針は、どうして「針」なの?
 避雷針が、何故、針なのか?どうして、避雷針に落ちやすいのか?その理由は全て繋がっています。針は徐々に面積が小さくなり、その先端の尖ったところで、面積は最小になりますが、この針の根元から伝わってきた電荷は、進むにつれ徐々に先細りとなり、針の先端では密度が一番高くなり、この先は放電するしかなくなります。ですから、放電現象を使う空気清浄機のような家電製品も放電は全て針の先端でしています。針の先からは放電するのです。

避雷針に命中するか?
では、この針の先端の非常に面積の小さな部分に落雷が命中するでしょうか?雷がギザギザで降りてくる光景はよく目にします。何故、ギザギザかというと、一度に放電できる放電距離は電流値によりますが、せいぜい100m程度で、そこまで放電がジャンプすると電荷は消滅し、また次に雷雲から電荷が補給されます。そして部分最適化を繰り返しながら降りてくるので一直線ではなく、ギザギザになります。この時、避雷針の先を1平方mmとして放電がジャンプする距離を100mとすると標的も大きさと距離の比は 1mm : 100 x 1000mm ≃1: 100.0000 になりますが、人間がこのような作業をする場合、一番上手なのはゴルゴ13 のような狙撃手ですが、2km離れた所から、20cmの的に命中させるそうで、その時、の的と距離の比は 20cm : 2000 x 100cm = 1: 10,000 となります。人間よりも自然界が10倍も精度の良い仕事をするとは考え難いことです。これは、上昇する「お迎え放電」と地面に降りる「先行放電」が上空で互いに引き合い、結ばれることで放電路が形成され、次に大きな電流が流れるのが落雷なのです。

お迎え放電を出さない
このお迎え放電をなるべく出さないようにすることが落雷を招かないために重要で、そのために2つの工夫が施されています。この要因が働いていることは放電施設での実験により確認しています。
1) その1つが電極の形状で、尖った針よりは滑らかな半球体の方が放電し難い
2) 同じ高さで先端の形状は同じように尖っているが、大地との間にキャパシタを入れて大地からの電流を流し難くした方が放電し難い

この2つの構造を1つにまとめてお迎え放電を出し難くしています。

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これを更に放電し難くしたのが避雷球です。2つの電極を対向させた構造では、例えばクレーンの先端に取付けた場合、クレーンの角度が変わると、上部電極の下に隠れていた下部電極も「お腹を見せた」状態になってしまう。これを防ぐために、長めの支持棒の下端に重しを取り詰め、重心点の上を支えれば、常に天頂を向く構造にはできるが(弊社の特許)重量がかさむのと、どの角度になっても接地線を柔軟に接続しておくことは難しく、避雷球の構造であれば、これらの問題をすべて解決できるうえに放電電圧もフランスのポー大学の設備では上限を超えても放電しない性能を示しました。

避雷球の仕組み