企業や団体は、落雷対策を怠ったことで起こり得る社会的責任を自覚し、積極的な落雷対策が必要です。「社会的責任」以外にも、いま企業が落雷対策を求められている理由があります。それは以下の3つです。
1)設備の修復費用よりも、設備停止によるダメージのほうが大きい
直撃雷は機器が炭化するほどの威力を持ちます。設備が破損して長期の修復時間を要すると、修復費用ももちろんかさみますが、修復期間の時間的損失、機会損失はさらに莫大なものとなります。
例えば、年間50億円を出荷するある会社が、落雷のため2週間操業停止を余儀なくされました。機器の修理費用はおよそ500万円、こちらは損害保険でカバーできたものの、2週間の操業停止は約2億円の損害になりました。顧客が他の供給先を探すことにもつながりかねません。
2)落雷対策を追加しない場合、保険の引き受けを拒否される場合も
落雷による被害は火災保険の補償対象ですから、初めて被害に遭った場合は保険会社も黙って支払ってくれるでしょう。しかし、その後は保険会社の審査が厳しくなります。初回の被害後抜本的な対策をしたか問われ、対策不十分とみなされた場合、保険引受の拒否もあり得るのです。
3)金銭や保険で解決できない被害がある
最後に忘れてはならないのは、私たち自身への被害です。
落雷による被害があっても、金銭で償える損害だけであれば保険も利用しなんとか持ち直すことはできます。しかし、生命に関すること、身体への障害が残る被害など、誰かの人生に取り返しのつかない損害を与えてしまう可能性があります。
例えば、所有するマンションの屋上に落雷した場合、その修繕の費用は火災保険が適用されます。けれども、コンクリート片で死亡事故が発生すると、火災保険は適用されません。所有しているだけで、寝ている間に加害者になってしまうことすらあり得るのです。